チャント母さんの絵本の中を覗いてみれば

~絵本や本を通して、ふと思い出したことを綴ります~

子供が社会人になって、今、思う正直な気持ちー⑥ の巻き

「どんな絵本を選ぶか」のヒント④

*こぐまちゃんシリーズをちょっと検索しましたら、

「こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家 わかやまけんの世界」

わかやまけん氏の創作全貌を紹介する、はじめての展覧会が、北九州市立美術館分館にて、開催されています。~1/23(日)までですが、お近くの方はまだ間に合いますね。

2022.3.19 (土)~5.15 (日)ひろしま美術館(広島)

2022.7.2 (土)~9.4 (日)(予定)世田谷美術館(東京)で、開催の予定です。

 又、こぐま社さんのスペシャルサイト

もありました。これ必見。面白い。知らないことだらけでした。展覧会のイベント情報もそこからリンクしていましたよ。

(久しぶりにブログを書いているので、上手くリンク出来ているかどうかわかりませんが、出来てなかったら、こぐま社 と検索してみて下さい。)

 

前回の続きから

『四、「絵本を読んでもらうことは、子どもにとって遊びなのです」』より~

この章の中で、例として取り上げられている本を先に、二冊紹介しておきます。

 

【絵本を読んで見立て遊び】

 

 

「こぐまちゃんとどうぶつえん」の中で、かばがうんちをするシーンがあります。

二歳児組のある園児が、お母さんにせがんで、動物園に行き、かばが、「うんち ぴっ ぴっ ぴっ 」をするまで、半日もかばの前に座っていたそうで、実際にそのシーンを見た時の感動が大変だったようです。

一歳児組では、絵本をトイレに持って走り、トイレの紙で、(絵本の中の)ぞうやかばのお尻を拭いて、新しい紙でそのうんちをつまみ、トイレで水を流してから、手を鼻に持っていき、「あ、くさい!」と言ったそうです。

三歳児組では、絵本の絵のうんちのにおいをかぐそうです。

 

絵本の絵を読み、見立て遊びをする。

実際の体験の積み重ねが、知的発達であり、大切なことだと言われます。

 

「なにをたべてきたの?」では、ぶたくんが石けんを食べるページで、何回読んでも、毎回、「石けん、たべられへん」と絵に向かって、教えるそうです。

長年、どの子も、同じようなことをするので、子どもの発達のひとつだそうです。

ぶたくんが、りんごやレモンを食べるページでは、絵本の中のりんごやレモンをつかみ、食べるマネをする。

一人の子どもが、前に出てきて、絵のりんごを食べようとすると、他の園児たちが、「それは、ぶうちゃんの!」と制止する。絵本を通して、自分と他人のものを区別していくそうです。

 

テレビのように動く映像より、絵本のように動かない映像のほうが、年齢が低い時ほど、子どもの心に訴える力が強いのではないだろうかと言われます。

 

佐藤先生は、子どもがいつも同じ絵本を読んでほしいと言って、おかあさんのところにいくと、他の本を持ってくるように言う人もあるけれど、子どもの発達だと思って、読んであげて下さいとお話です。

 

正直、えー、またー、もう飽きたよ~と思うほど、何度も何度も、同じ本を読みました。子どもは、繰り返しが本当に好きです。言葉遊びも、絵本も、何かハマった動作も、繰り返し、繰り返し… 。{しつこいなぁ~ }じゃないんですよね。(^_^;)

 

「なにをたべてきたの?」は、童話館の配本で、購入しました。

個人的には、あまり聞かない出版社(ちなみに、学生時代、書店のアルバイトをしていたので、出版社には案外詳しいです)で、書店の棚にあったとしたら、正直、手に取ったかどうかわかりません。読み聞かせをするうち、素敵な本だなぁ~と思うようになりました。

余計なものがないような…、シンプルで、単純で、色彩がスッキリした本です。

とても清潔感があり、白い石けんをイメージしたような… 。

その分、子どもの心に響くものがあるのかなぁ~。

うちの子も大好きな本でした。何度も読んで、ずいぶん傷んでいたような… 。

こういう気に入った本は、借りるより、手元に持っていたほうがいいような気がします。特に、年齢が低い時ほど、いつでも、何度も、手に取れる場所に本があるといいように思います。

 

続きは、又、追記します。(2022/08/11追記)

 

【「ねないこだれだ」の読みきかせ】

佐藤先生は、ご自身の保育園での講演会のみならず、他の幼稚園や会場にお出かけになり、講演や読み聞かせをなさっておられたようです。(どこかの会場の講演のビデオテープが手元にあります。友人がダビングしてくれたのですが、機材がなく、再生視聴出来ないのが残念です。)

 

色々な講演会で、読み聞かせをしている時の子ども達の様子をお話です。

ねないこだれだ

「とけいが なります ボン ボン ボン」と読むと、

「おじさん(佐藤先生) 九時だよ」と教えてくれる。

確かに絵本の絵の時計は九時なので、あわててあと六つ「ボン ボン… 」と追加する。子供が絵をよく見ていることに、感心する。

 

「こんな じかんに おきているのは だれだ?」のところでは、

農村の子供たちは、夜、ネコの目が光っていたという体験をもつので、「ねこだ ねこだ」と声をあげる。

又、保育園の子供たちは、このフレーズで、三歳児が、「おい、みんな、ねろ!」と言うと、一、二歳の子供たちが、ごろんと寝てしまった。

このフレーズで、これだけの反響があるのです。

一歳の終わりから、(自分の)体験で読んでいくようなことをします。

 

「いえ いえ よなかは おばけのじかん」と、このページで、おばけが出てくると、

何歳児でも、「キャッ!」と喜ぶ。

 

一歳児は、怖がっているわけでもなく、手で顔を隠して、時々、手を上下に動かし、すき間からのぞいて、おばけを見ている。

二歳児は、「キャッ!」と言うと、部屋の隅に走って行き、床にうつぶせで、顔を隠し、しばらくすると戻って、読み聞かせを聞き、又、おばけが出てくると、部屋の隅へと走って行く。

こうして絵本のセリフのタイミングを計りながら、絵本を楽しんでいるのだそうです。

170人という大人数での読み聞かせでは、1ページ読むごとに、170人の子供たちが、「ワァッ!」と歓声をあげ、後ろにひっくり返ることをくり返したそうです。

最初は、絵本の絵が見えないことを大変心配され、お断りされたようです。

しかし、いつもこの本を読んでもらっている子ども達が、文を聞くだけで、頭の中に、絵を思い浮かべ、人数に関係なく、色々な楽しみ方をしてくれて、佐藤先生は、本の嫌いな子はいないという確信を持つようになったそうです。

 

『おおきなかぶ』

「うんとこしょ、どっこいしょ」というところでは、

読む前から、体をゆすり、このフレーズを唱える。文にリズムのあるものは、体を動かさないではいられない。

これは、テレビを見るのとおなじで、絵本で遊ぶという事で、読んでもらっているうちに、テレビとは違う楽しみ方があるのをだんだん知っていくそうです。

「行儀よく静かに最後まで聞きなさい。」という大人の勝手な要求は、子どもの楽しみを奪ってしまうことで、「読んで!」と絵本を持ってくると、勉強でなく、遊びと思って、子どもにつきあってほしいと仰せです。

 

リズム感のある文って、子どもは好きですね。スーパーで大根を見ても、公園の砂場でも、♪うんとこしょ、どっこいしょ♪ わざわざこのセリフを口にして。

 

続くー⑦